こちらは増田かおるYouTubeチャンネルの動画。                               
https://www.youtube.com/watch?v=u3wsFl9zjMA&t=19s
矢切の耕地の冬景色
                     
こちらは、矢切の耕地を未来につなげる会の動画、2022年の秋に、市民劇場で開催し集会でご覧いただいたものです。
https://www.youtube.com/watch?v=94ZoFicYC_s&t=161s
                      
                        
農地は、農家さん個人の財産ですが、その仕事は非常に公益性の高いものだと思います。
本来なら、国民の糧なのですから、国をあげて守るべきですが、実際には農家さんは守られていません。
優遇措置があると言っても、それ以上にかかるものの方が多く、だから、子どもが後を継がない。あるいは継がせられない。
後継ぎがいないのは、農家で生活していくのが物凄く大変だからです。
新規参入しようと思っても、農地も農機具も一から揃えようとしたら、その投資額が大変なものになるので簡単にいきません。
          
動画をご紹介しましたが、私は「矢切の耕地を未来につなげる会」に関わっています。
私の他にも何人かの議員が関わっています。10月にチラシをつくり、配布したところ、矢切の農家さんがSNSに意見を投稿したので、私の考えを述べ、2往復やり取りをしました。かなり長いですが、良かったらお読みください。(お名前などは伏せて、内容が変わらないよう、少し編集しています)
                      
………………………………………
                
矢切の農家出身の、農業者です。
矢切耕地の農地を守ろう!自然保全だ! という主張を良く見聞きしますが、30歳になる前に地元に戻り、当事者として農業に関わってきた私見を。
                      
まず、農地は、自然ではありません。自然を壊し、一切の自然の植物を排除し、食糧などの農産物を生産するための土地。あくまで農業をする人や法人が、事業として、商品を生産するために整備した土地です。
なので、自然を守るために、農地を守ろう!という趣旨の主張には、そもそも自然じゃないし。と感じますし、 故郷の景観を守ろう!という趣旨の主張には、そう言われても、自分の土地を農地として活用しなくなれば、他に有効活用したいよね。他人の土地に、なぜ、とやかく言うんやろ?と感じます。
皆さんの土地、景観損なうから家建てないでよ。と他人に言われても、 はっ?? て思いますよね。 農地として活用したい人は、し続ければ良いし、 農地として活用できず農地の維持が難しければ、転用なり、売るなり、すれば良い。 これが当事者である自分の思いです。
                      
矢切耕地の農地は、細切れで、大規模集約化が難しく、生産性が非常に悪い。 生産性が低いので、農家は家族3人、4人で長時間働き、なんとか生活している。または生活できずに誰かが外へ働きに出て、農業をしています。 労働時間あたりの粗利が、千葉県の最低賃金を超えている農家は、おそらく、いないのではないかと思います。 農業の労働を時給換算すれば、最低賃金を大きく下回るはずです。 ちなみに私の農業法人は、大きな畑が沢山ある地域に、農場を移転しました。生産性を上げねば農業を事業として継続できないので。 矢切耕地を守ろうよ!という活動は、そんな低賃金の長時間労働を、農業者に負わせ続けようとしている。という側面がある事も、頭の片隅に、置いておいて頂きたいです。
矢切耕地を守りたい人は、出資し合って、農業法人として農地を買って、低賃金長時間労働を率先して引き受ける!というところまで、責任を持って活動して頂きたいものです。 以上、矢切の農業当事者の、率直な考えでした。 シェア、ご自由にどうぞ。 長文、読んでくださった方、ありがとうございました!m(_ _)m
………………………………………………
                   
市議会議員の増田薫です。
ご意見をいただきありがとうございました。農業に携わる方の声は貴重なので、とても嬉しかったです。〇〇さんのご意見は、多分私が関わっている団体のチラシをご覧になってのことかな、と思いましたので、私からも意見を述べたいと思います(すぐにお返事したかったのですが、なかなかゆっくり書けなくて、今頃になりすみません)。
                  
概ね、〇〇さんのご意見に同感です。
                    
農業で生計を立てるのが困難なため、多くの農家で「後を継いでくれない」「継がせられない」ということが、矢切だけではなく全国で起きている問題ですよね。 そして、これは農家さんのせいではなく、政治の、農業政策の脆弱さがそうさせてきたと思います。だって、ちっとも守ってくれなかったじゃないですか…。この現状は政治の結果だ、と私は思います。
                  
現在、農業従事者の平均年齢は、およそ70歳。10年後は平均80歳。 このまま農業政策を立て直さなければ、私たち消費者にとっても大変な未来が待っていると思います。10年後には、私たちは国産の米や野菜が食べられないかもしれません。
                      
しかし、現状、農家さんに後継者はいないし、この先農地をどうしたら良いのか?と考えあぐねていたところに、大型物流倉庫の建設の話がきて、お荷物になるかもしれなかった農地を高値で買ってくれそうだ、となったら、飛びつく農家さんがいても仕方がないですよね…それを責めることはできません。
                              
市外の方ですが、米を作っている農家さんに聞いたら、野菜ならまだしも米は作っても赤字にしかならないよ、と言われたことがあります。頑張りようがないんですよね。 ましてや、この円安で肥料・飼料が倍の値段になり、もっと利幅が減っているのが実情だと思います。
                           
それで、私が言いたいことは、私が「農地を守ろう」と言っている相手は、行政だ、ということです。農地は私たちの命を育む食べ物を生産するところだからです。生産地を守るのは行政の仕事だと思います。私は行政に対して農業政策を見直してほしい、と要望し続けています。もちろん、農地は緑地として位置付けられているので、緑地として守ってほしいという側面もありますけど、一番大きい訴えは、農家さんが安心して農業を続けられるように政策で支えてほしい、ということです。
                          
前の市長選の最中に雹(ヒョウ)が降った時、矢切ネギの苗やキャベツが酷い被害を受けた時に、私は取り急ぎ市議会議員に声をかけて現場を見せてもらい、市に対して助成を検討してほしいと要望しようと議員に持ちかけました(結果としては国に対する意見書を提出しました)。 あの時キャベツはほとんど全滅だったのではないでしょうか。矢切ネギの方は、農家さんのご努力で、何とか年末までに持ち直して、ホッとしましたが、あんなことがもし続いたら誰だって辞めたくもなると思いました。
                           
松戸市の農業予算は、一般会計予算約1,800億円のうち0.2%、3.6億円しかありません。私が議員になった10年前は0.4%、その時も少なかったのにさらに半分…少なすぎます。
                        
1点、〇〇さんと視点が違うかな?と感じるところがあり、ここは表現が難しいので伝わるか心配なのですが、 農地は非常に公共性の高いもの、ということです。個人の土地であっても、農産物を生み出す土地、私たちの命を育むものなので、公共性がとても高いと私は考えています。だからこそ、行政がもっと積極的に、50年100年先を考えた農業政策を考えるべきだと思っています(第一次産業全てに言えるのでは?)。
                        
例えば、まだまだやる気のある農家さんや、内心「農家を辞めたくない」と思っている農家さんがいるのなら、続けてもらえるように、行政が支援してほしいのです。それは、私たち自身が生きていくためでもあります。 私の理想(夢想かな?)です。松戸市だけではできませんが、 農業従事者は半分公務員扱いにし、生活を保証する(災害時も保証)。その代わり農産物の質のチェックを定期的に行い、一定の質以上でなければ助成金を減らす。逆に一定基準以上の農産物を生産していれば、生活は安定できる。関税を撤廃し続けているのも大きな問題で、見直すべきです。
                           
日本が、すぐに稼げないものを「無駄」として切り捨てているようになっている気がしていますが、農業を切り捨てられたら、私たちはどうなるのでしょう。 軍事大国では、食料自給率の高い国がほとんどです。日本は現在38%(カロリーベース)、私たちが生きていくのに必要なカロリーのうち38%しか賄えません。輸入している肥料などを差し引くと10%代にまで落ちます。アメリカのシンクタンクが「食糧危機が起こったら真っ先に飢えるのは日本である」ととっくにシミュレーションを発表していることから見ても、日本はとてもまずい状態だと言えます。 どんなに強い武器を持っても、腹ペコでは戦うことはできませんよね?(戦争は絶対に反対ですけどね)
                      
もちろん、そんな理想を言っても、今この時が重要なのだ、生きるためにお金が必要なのだ、という農家さんがいるかもしれないことも、頭では分かっています。その農家さんを責めることはできません。 でも、だからと言って何も言わないわけにはいきません。政治というものは、私たちの未来を創っていると思うからです。少し癇に障るかもしれませんが、これからも主張をし続けていきます。
                       
とはいえ…市長は農業を守ろうという気は無いようですし、以前は「矢切の耕地は守るべきだ」と言っていた保守系議員も今は何も言いません。 前に上空から矢切の耕地を撮影してもらいましたが、農地はつくづく美しいと思いました。特に矢切の耕地は近隣ではほとんどないほと広大な農地です。 そして農業は尊い営みです。本当はもっともっと大事にされなければおかしい(おかしかった)と思います。
                             
何度も繰り返しますが、今目の前の生活のために、あるいはどうすることもできない農地をお金に変えたい、という農家さんがいても責めることはできません。それは農家さんのせいではないのだから。 以上、伝わったかどうか分かりませんが、私の意見を述べました。 このようにご意見をいただけるのはとてもありがたいです。これからも良かったらお願いします。 長々とすみませんでした。
                                 
………………………………………………………
                    
増田薫 さん 
ご丁寧にコメントありがとうございます!
農地は公共性が高いものというのは、自分も同じ考えです。投稿の趣旨とは話がそれますが、以前、自分の農業法人で、農地を集約して生産を拡大しようと行動した際、地主が農産物を栽培していないのに農地を貸してもらえないという問題に直面しました。農地は税制で優遇されており農産物の供給という形で国民に還元しなければと思うのですが、残念ながら松戸市では多くの農家が、生産しないのに農地を貸したがらない。それは、農地として貸しても相場がタダ同然の賃借料しかもらえないし、貸せば売りたいときに売れないという認識があるようです。残念ですが農地を公共性があるものと思わず、農産物を作らなくとも資産として保持したいのでしょう。
                              
なので、農業委員会の監視基準を強化して、農地として活用できていない農地は税制優遇を外すなどの対策をして、認定農業者など有効に活用する農業者に農地が集約できるようにして欲しいですね。 松戸では農地が集まらなかったので、自分は生産を別の地域に移しました。
                             
で、本題に戻りますが、増田さんが、農業の経営的な問題の改善が重要と考えてくださっていることも、農業者として、ありがたいです。農業の労働を時給換算したら何円になるの?というのは作物ごとに大きな差があるので、制度設定は難しいとは思うのですが、あらゆる作物で、農業者にも最低賃金を補償してもらうようにしてもらわねば、最低賃金を1500円に上げたら、家族のタダ働きに支えられた家業の農家以外は、継続できなくなります。最低賃金あげよう!という話を聞くたびに、雇用して農業経営している農業者は、不安な思いを抱えています。政治の力で何とかしてください!m(_ _)m
                               
ただ、日本の食料自給率の問題は、通常カロリーベースで語られており、矢切耕地に関しては、ほぼカロリーゼロの葱、キャベツですので、日本の食料を!という問題は、矢切耕地をどうするか?という問題とは分けて考えて良いと思います。 自給率が低いのは、日本の農地が足りないからではなく、国民の皆さんが、パンや麺類などを食べるようになったから。という要因が大きく、みんなが主食を米に戻せば、米の生産には余力があるので、自給率は大幅に改善できます。 自給率問題の改善には、矢切耕地を守ろう!というより、 みんな、米食べよう!!を、強烈に運動してください。
                                 
で、矢切耕地の米生産能力は、田んぼや用水路の構造上、大規模集約が不可。米を経営的に持続して栽培できるようにするには、大規模に稲作ができるよう莫大な資金を投入して、用水路、排水路や、田んぼの大規模化など基盤整備が必要です。 各地の大規模稲作地域で米を減らして飼料用作物を栽培している中で、多額の税金を投入までして矢切で稲作を残す意義は、矢切で稲作をしてきた当事者として、全く見つからないですね。
                                 
物流は、どちらでも良いのですが、矢切ねぎ等、栽培し続けたい人は続けられるだけの農地を残し、他は市街化や商業区域にして、松戸に多くの人や企業を呼び込み、所得税や固定資産税の税収大幅アップ、未来の福祉等の財源確保に活用したほうが、農地として残すより、市民のためになるのではないかと、私は思ってます!
                                  
…………………………………………………
                                                        
〇〇さん 
同じように考えているのに思考がずれてしまう理由は、主体をどう見ているか、によるのだと思います。
食料自給率がカロリーベース、だから米をほとんど作っていない矢切の耕地には適さない。だから食料自給率の問題は当たらない。 というのが一つの〇〇さんのご意見ですが、何度も言っているように、私は農家さんが問題だとは言っていないのですよ。 その大きな原因は、農業を自己責任にしてきた行政の責任です。 もし、農業という仕事でわりと安定した生活が送れたら、どうなっていたでしょうね?私はそういう農業政策を目指していくべきだと思います。
                                   
何度も言いますが、そうなってくれないと、私たち消費者がいずれはとても困ったことになると思うからです。 〇〇さんがご覧になったチラシは、矢切の耕地を未来につなげる会という団体のニュースです。私もその団体に関わっています。市民運動は市民の権利です。公序良俗に反しない限り、主張があれば述べても良い。 大型物流倉庫の業者が高い値で農地を買ってくれるのに、余計なことを言うな、と思う方もいるかもしれませんが、少なくともエゴで市民運動をやっているとは思っていません。後世の人たちに何を残すべきかをそれなりに一生懸命考えている人たちです。
                            
食料を得られる場所が足元にあるということ、その尊い仕事を担っている農家の皆さんをどうやったら支えられるか真剣に考えるのが農業行政の責任てものだと(妄想に近いかもですが)思って運動しています。でも、広げていくのもとても大変です。矢切の農家さんにとっては癇に障るかもしれませんが、私たちの声はとても小さいもので…残念ながら、議会でも都市計画審議会でも、矢切の耕地は開発可能へと進んでいます。
                                
ドローン撮影した矢切の耕地の写真を見ると、つくづく農地は美しいと思います。この写真が、貴重な記録になってしまうのかと思うと、本当に残念です。 〇〇さんが農家当事者として市長に意見をしたということですが、市長は喜んでいるかもしれませんね。
                               
話が噛み合いそうにないので、私はこれ以上返信はしません。 意見交換ができてよかったです。ありがとうございました。
………………………………………………………