以下は、議会事務局に提出した報告書です↓↓↓
(文末に感想を書いています)
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自治体議員情報センター 虹とみどり主催
第38回 地方×国 政策研究会
2022.2.10 オンライン
財政(予算)の流れについて、井奥まさきさん(兵庫県高砂市議)から説明
3つのポイントは、総務省「令和4年度地方財政対策のポイント」
(①一般財源の確保、②臨時財政対策債の抑制、③主な歳出:デジタル化、
脱炭素化、防災)。
補正予算にも注目。
<第一講座 国の視点(総務省より説明)>
平成13年度以降、国からの交付税の半分を臨時財政対策債として
借金出来ることに。
しかし出来るだけ臨財債に頼らない財政計画が望ましい。
歳出
①デジタル化→ 人材育成、サービス高度化
②脱炭素化(新規)→ 喫緊の課題につき、使い勝手が良いように
③防災力強化→年々増える災害に対して
デジタル田園都市国家構想(内閣官房)
目的
①人口減少歯止め
②東京一局集中の是正
地方財政を支援
東京は、転入超過→コロナ禍後に転出超過に変化
デジタル化により、環境整備や雇用創出、遠隔地との教育環境整備を
進める自治体も
(地方創生拠点整備交付金)
専門家のマッチング事業等、地方の活性化に寄与
《質問》
1.臨財債少なくなった理由詳細に。償還は大丈夫なのか。
→総務省:補正予算、令和3年は大幅税収減の予測だった。
その穴埋め臨財債は大規模に。
しかし予測より落ちず、臨財債は見積り過ぎていた。
令和3年は1.8兆円の臨財債発行だったが、償還額は4兆円ある。
2.償還基金とは?
基金に積み立て、償還に充てる場合もある
(臨時財政対策償還基金!?松戸市にもあった??)。
3.税収の伸びをどう見れば良いか
→予測と大きく外れた場合には、財政当局と調整していく流れ、
きちんと対応する
4.臨財債償還 基準財政需要額に100%
5.償還額を下回る臨財債水準は初めてだが?
多めに予算措置している自治体も。
→データに基づき固く見積もっている。
基本的には国の予測に基づいていただけば。
6.デジタル化構想、デジタルに偏り過ぎているのではないか
→都市と地方の良さを活かしていくために必要。
実は11月に立ち上げた構想のため、
詳細が煮詰まっていない。より良い未来のために良い事業にしていく。
<令和3年度補正予算>
1.コロナ、
売り上げ3割減 補償
時短要請 補償
2.ウイズコロナ、
暮らしへの支援 →非課税世帯、緊急小口資金、生活困窮者自立支援金
コロナ予備費 5兆円
3.新しい資本主義
成長戦略、科学技術立国、デジタル田園都市構想、デジタルインフラ整備、
分配戦略、診療報酬等を通じて看護師等の給与 アップ、
4.防災減災
防災減災国土強靭化、公共事業
農林水産品食品輸出5兆円目標
《質問》
1.・福祉職、会計年度任用職員のみならず正規職まで対象にするのはなぜ?
→保育所、介護職、対象にしているが、自治体の判断も可能。
・保健師は対象になるか
→自治体判断になる
・ケアハウス職員など対象にならない介護職について陳情が出ているが
→都道府県事業、国保連経由で自治体に配分される
→養護老人ホーム/軽費老人ホーム等、昨年末通知で「対象外だが、必要な改定を」
と求めている。引き続き検討課題。
・来年、再来年まで継続されるのか
→10月は臨時改定で加算したが、再来年のことまでは断言できない。
・ケアマネは対象になるか
→ならない。直接身体に触れるケア労働を対象にする。
これまでの実績を見るものではない。
2.保育所の方、園によっては煩雑な手続きを嫌がって提出しない園もあるのではないか
→様式を埋めれば提出できるようになっている。
自治体が提出支援を促す、支援する必要があるかも。
3.11月12月に国から出てきても対応しきれない心配。制度設計を早くしていただきたい。
事業が新しい年度にかかる場合。
→3月は一時金、4月から運用、という方法も。内閣府としては頑張ったつもりだ。
4.新しい資本主義の展望について
→賃上げの動きを作っていく
<顧問:福嶋浩彦さんより>
現場を一番見ているのは基礎自治体である。自治体の立案・発案をし、
国がそれを支援する形に持っていくことも出来る。
そういう自治体になってほしい。
<第二講座 脱炭素政策(環境省より説明)>
2050年カーボンニュートラル
削減率は51%に
住宅、建築物におけるハードソフト両面の取り組み施策立案
新築建築物/既存建築物それぞれにZEB化支援、
特に既存建築物に手厚くしたい
ZEBとは、省エネ+創エネ
→プラスマイナスゼロにする(近づける、又はマイナスにする)こと
パッシブ技術 省エネ
アクティブ技術 高効率
レジリエンス技術 創エネ
学校施設のZEB化 高断熱化、LED照明化 木材利用促進
現状では、地方公共団体50ヶ所ほどZEB化されている
地域脱炭素ロードマップのポイント
今後5年間に政策を総動員、人材技術情報資金を支援する
2030年までに少なくとも100ヶ所の脱炭素先行地域を作り、
脱炭素ドミノを起こしたい
1月25日〜2月21 公募実施
春に選定、公表 1回で100ヶ所選ぶわけではなく、2050年までに
スタディガイド提供する
財政支援策
脱炭素移行、再エネ推進交付金、財政投融資を活用した出資制度
《質問》
1.ZEB化建設費と維持費を天秤にかけたらどうなるか
→建設費が高くなる可能性もある、維持費とトントンになる事例
2.交付金は200億円少なくないか
→次年度は200億円だが、自治体の応募や効果次第で増やしていける
のではないかと考えている。
3.地方公共団体で出来ることは
→政府実行計画では、屋根に太陽光パネル設置
4.景観、環境保護問題は条件に含まれるか
→建物を対象にしているため、今のところない。
5.専門的な人材の確保、育成はどうする?
→大事な視点、課題。総務省の人材派遣制度の活用も検討できないか
話し合いをしている。
6.太陽熱利用は
→メニューに入っている。自治体の特性により選んでほしい。
7.再エネのために緑地を潰すのは本末転倒、どう考えているか。
→その通り、効果的にやっていく必要がある。
<第三講座 新しい「地球温暖化対策自治体向けマニュアル」を読む
千葉商科大学 基盤教育機構 田中信一郎さん>
間もなく公表されるが、今日は検討段階の取りまとめにより説明。
地方公共団体実行計画
努力義務とされたが、実行計画を作らない場合には理由が必要とされた。
→実質上、義務化と同等 (松戸市は平成28年)
自治体に説明責任が求められている。
自治体首長、幹部、議員、各種団体代表、
それぞれに対し認識の共有を求めている。
一つの事業で複数の課題を解決していこう→環境、経済、
バラバラだったが、繋げていく統合的アプローチ
地域内外の様々なステークホルダーの連携必要
事務事業編(義務)・区域施策編の一本化を推奨
総合計画に盛り込む
環境省のマニュアルを使い、実施のために使って。
自治体能力云々ではなく、シナリオを組み立てるほど(調査に手間取るほど)、
実は減らせない。
大事なことは、正しい方向の政策を積み上げること。
大規模施設や工場は国の役割だと割り切る。
地方公共団体として実施可能な環境整備に取り組む。
行政の縦割りは経験・実績を積み、成功体験を積むことでしか解消できないだろう。
小さなことであっても正しい方向での成功体験の積み上げをしていくことしかない。
現状は海外から購入しているエネルギー、費用は海外に流れている。
あるべき将来像は、断熱工事や太陽光パネルを地域工務店に施工依頼
→エネルギーと資金を地域で回す
地域住民が出資して再エネ事業を運営し、経営リスクは地域が引き受ける
地域参画型、地域配慮型=日本ではほとんど無い
外部主導型は海外に資金流れてしまい全く意味がない
プラスソーシャル
公共施設は区域の一部だけ重視するのはダメ、脱炭素型のまちづくり、
コンパクトシティ、持続可能なインフラのあり方などの観点から検討すべきだ
公共施設の稼働率を高めること=昼夜兼用出来ないか
スケルトン構造=間仕切り壁がない空間作り
用途変更への対応
コンクリートの中性化 打ちっぱなしの建物はダメ!長寿命化
複雑な形状の建物はコストが高くメンテナンス難しい→単なる箱で良い
高断熱高気密+少数の高効率設備にすべき
→自治体発注仕様書に盛り込むこと!
新築なら外断熱、
既存建築物は内断熱に。
熱感流率 日本のアルミサッシ製品は4.6当たり前だが、
ドイツでは1.3以下義務付けられている
自治体だけではなく、市民や市民団体、
企業などさまざまなステークホルダーの関わりを
《質問》
1.ニセコ町新庁舎について
→設計段階で専門家にアドバイスを求めたら断熱不足を指摘された。
しかし構想段階で方向性を盛り込むことが一番大事
2.断熱材化学物質しかない?
→日本では断熱材が重要視されておらず需要もないので、今のところ無い。
企業を育てていない。現段階では化学的なものを。
3.福祉と断熱の関係
→断熱が一番大事、風呂場と寝室をまずやる。ヒートショック減らす
=健康寿命を伸ばす。
基本設計の段階になって変更を入れるのはかなり大変。
津山市の例参照=公共施設のカルテを作っている。
<感想>
社会が困窮している実感があるのに税収増、非常に違和感がある。
一定以上の地位、収入のある人はそれほど困っておらず、それ以下の人たちは
苦しい状況になっているのではないのか。もし税収が昨年度に引き続き今年度も
豊かなのであれば、それこそ格差是正のための配分を検討すべきだ。
そのための政治であるはずだ。
税収と反比例し、臨時財政対策債が抑制されるとのこと。
松戸市は毎度満額借りているが果たして今回は?よく見てみよう。
逆に抑制される中で予算執行が滞りなくできるのかも注意したい。
補正予算、コロナ予算をよく見る必要がある。
2年前からいつでも誰でもどこでもPCR検査が受けられる体制を要望してきたが、
国は進めなかった。だいぶ遅れて少しずつ進んできたが…
キット不足や体制不良が響いて進められない。
蔓延防止に基準は?
国にも松戸市にも、調査に基づく根拠、根拠に基づく政策作りが求められると思う。
効果的に税金を使うために必須だろう。
新しい資本主義に新しさが感じられない。
デジタル化、「人口減少に歯止め」につながる理由がイメージできない。
政府の政策はどれも少子化対策ではなく労働対策ばかりで、松戸市も同じだ。
脱炭素化の予算がとても少ない。ここはダイナミックに予算を組み、
各分野の専門家からアイディアをもらい、地域の特性によって持続可能性を
選択できるよう進めるべきだ。
この分野は新しい産業を生み出す可能性が高く、期待できるはずだ。